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どのような行為がタレント等の移籍・独立の妨害とみなされるのか

契約書式

 
 
 
 
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タレント、俳優、アーティスト、アイドル、声優等(以下「タレント等」といいます)が事務所に所属する際、専属マネジメント契約・所属契約といったタイトルの契約書をタレント等と事務所との間で締結しますが、この契約を終了し、タレント等が退所する際に、そのタレント等の移籍・独立を事務所が妨害しているとみなされる行為はどのようなものでしょうか。
 
2018年に、公正取引委員会が、タレント等の独立・移籍を芸能事務所等が妨害することが独占禁止法上の問題となるとする発表をしたあたりから、公正取引委員会は、タレント等の独立・移籍を芸能事務所等が妨害することについて非常に厳しく目を光らせるようになりました。
 
2025年9月30日に、タレント等とその所属事務所等が締結する契約の実態調査を行った上で、公正取引委員会は、タレント等とその所属事務所等が締結する契約の適正化のための指針を発表しました。
 
この指針の中でも、タレント等の移籍・独立を事務所が妨害しているとみなされる行為をしてはならないと割とボリュームを割いて記載しておりますので、これらをもとに解説致します。
 

【公正取引委員会の指針に基づく考え】

 
まず前提として、タレント等の移籍・独立を妨害するような言動を芸能事務所がしてはならないとした上で、実態調査において実際にあった、次のようなことをするとタレント等の移籍・独立の妨害とみなされる可能性があります。
 
 
・契約期間満了時にタレント等を退所させない
・事務所を移籍・独立するとその後の芸能活動を一切行えなくすると脅すこと
・契約書において、契約期間中に他の事務所と移籍の交渉を行うことを禁じること
・タレント等の悪評を移籍予定先の事務所やメディア等に流すこと
・タレント等を担当していたマネージャーがそのタレント等と一緒に退所しようとする場合に、そのマネージャーが別の芸能事務所に転職することを禁止することや、マネージャーが担当していたタレント等に退所後に関与しないことを条件とする等して、マネージャーとタレント等が一緒に移籍・独立することを妨げること
・タレント等から退所の申し出があったが、退所を認めつつも、手続きがまだ行えない等と退所を引き延ばすこと
・タレント等から退所の申し出があった際に、対処するなら悪評を外部に流す等とそのタレント等に伝えること
・テレビ局等の放送事業者等に対し、タレント等の退所が円満な退所でなかったことや、トラブルがあった等の退所したタレント等に関する悪評を伝えること
・他の芸能事務所や関連事業者(ヘアメイクアーティスト、スタイリスト、放送作家等)に対し、退所したタレント等と業務を行わないよう働きかけること
・退所したタレント等の情報を事務所のウェブサイトに掲載したままにする等の方法により、テレビ局等の放送事業者等に、そのタレント等がいまだに事務所に在籍していると誤認させることや、タレント等に対する仕事の依頼等を事務所にもってこさせるようにすること
・退所するタレント等に対して、一定期間のフリーの期間を設けさせること
・複数の芸能事務所間で、退所したタレント等について恩知らずであると批判する等してそのタレント等の移籍を受け入れないという認識を共有すること
 
 
芸能事務所としてどのような行為が望ましいかというと、タレント等が契約期間満了をもって移籍・独立を希望する場合は、移籍・独立ができるように適切に対応すべきと、公正取引委員会の指針では定められております。尚、タレント等から退所の申し出があった場合に、より良い条件を提示する等して事務所に残ってもらえるよう交渉をすることは問題ございません。
 
上記に列挙した行為をすると、独占禁止法上の問題となる場合がありますので、芸能事務所としては、今後所属していたタレント等が退所する場合は、上記に列挙した行為を行わないよう注意する必要があります。
 
 

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藤枝秀幸

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2009年に当事務所を設立し、著作権等の知的財産権の専門家として、主にIT系、エンタメ・芸能・コンテンツ系のクライアント様やクリエイター様等から多数の契約書(英文契約書含む)作成・リーガルチェック業務のご依頼を頂いております。
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