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タレント等と芸能事務所との所属契約の適切な契約期間は?

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タレント、俳優、アーティスト、アイドル、声優等(以下「タレント等」といいます)が事務所に所属する際の契約(専属マネジメント契約、所属契約等)における、適切な契約期間はどのぐらいかというのは、私も割とクライアント様からご質問を頂くことがあります。
 
公正取引委員会がタレント等とその所属事務所との契約の実態調査に乗り出した2018年頃から、やや契約期間が短くなっている傾向がありますが、概ね1年~3年といったところで、あとはタレント等とその所属事務所との間で異議がなければ自動更新していく、といった形が割とよく見受けられるところではあります。
 
そうしたタレント等とその所属事務所との契約の契約期間について、2025年9月30日に公正取引委員会が発表した、タレント等とその所属事務所等が締結する契約の適正化のための指針の中でそのことが言及されております。
 
 

【公正取引委員会の指針に基づく考え】

 
この公正取引委員会の指針は、タレント等とその所属事務所等が締結する契約(専属マネジメント契約、所属契約等)の実態調査を行った上で作成されたものですが、契約期間についても望ましい在り方を提示しています。
 
まず、公正取引委員会が行った実態調査によれば、契約期間を定めているのは全体の60%程度で、40%は契約期間を定めていない、ということのようでした。思った以上に契約期間を定めていない事務所が多いという印象ですが、ひと昔前のタレント等と事務所との契約は確かに契約期間の定めがないようなものも一定数みられたと記憶しております。
 
そして、契約期間を定めている事務所のうち、その80%は、2年以内の契約期間としているということでした。これも私が見ている事案に基づく感覚と一致します。一昔前は3年契約もいくらかみられましたが、近年はだいたい1年~2年契約ぐらいが多いように見受けます。尚、3年契約というのは、労働基準法により期間の定めのある労働契約の契約期間は3年間を最大とする(労働基準法第14条第1項)という規定がございますので、おそらくそれを根拠に最大期間として設定した結果なのではと推測できます。
 
そして、契約期間を定めている事務所のほとんどは契約を自動更新の形としているとのことです。これも私が見てきた事例と概ね一致します。
 
よって、近年の一般的な契約期間は、1年~2年程の自動更新、ということになるのでしょう。
 
おそらくこの形であれば、長すぎないちょうどいい契約期間ということになるのでしょうが、公正取引委員会の指針では、より踏み込んで、契約期間を次のように設定すべきとしております。
 
「芸能事務所がタレント等の育成等のために行った投資費用を回収し、且つ合理的な収益を確保するために必要な期間・・・これを契約期間とすることが望ましい」
 
上記の育成等のために行った投資費用には、タレント等のレッスンに係る費用等の必要なスキルを向上する費用や、タレント等を売り出すための宣伝費用等も含まれるとしております。
 
こうした投資費用を踏まえて設定することが望ましいとしておりますが、最初にタレント等と事務所が契約を締結するタイミングで、どの程度そのタレント等のために投資するかは不明な点も多いでしょうから、現実として、将来的な投資費用を踏まえて契約期間を設定するというのはなかなか難しい面があるのではと考えます。
 
尚、公正取引委員会の指針では、タレント等と事務所との契約(専属マネジメント契約、所属契約等)の最初の契約期間を相当の長期間とし、タレント等と協議をすることなく自動更新によって延長する期間も同じだけ長期間とする、という形を独占禁止法違反になり得る問題となる事例として挙げております。
 
ここにいう「長期間」がどの程度かは具体的な数字が挙げられていないので推測しかできませんが、おそらく4年以上の期間を指しているのではと思われます。
 
そうしますと、4年以上の契約期間を定めて、なおかつ自動更新で4年以上延長される形にしていると問題となる場合があります。
 
よって、上記諸々を踏まえますと、タレント等への投資費用がある程度算出できるのであればそれに応じて回収できそうな期間を契約期間として設定すればよいですが、投資費用がまだ不明瞭な場合は、1年~2年程の契約期間として、あとは1年程度延長できる自動更新、という形にしておけば概ね問題のない契約になるのではと考えます。
 
尚、契約期間を定めなかった場合は、公正取引委員会の指針では、タレント等が辞めたいといったタイミングで辞められるよう、事務所がこれを認めるべきであるとしておりますので、できれば契約期間を定める形にしておいた方が良いでしょう。
 
 

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藤枝秀幸

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代表:藤枝秀幸(弁理士・行政書士)
 
2009年に当事務所を設立し、著作権等の知的財産権の専門家として、主にIT系、エンタメ・芸能・コンテンツ系のクライアント様やクリエイター様等から多数の契約書(英文契約書含む)作成・リーガルチェック業務のご依頼を頂いております。
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