契約を締結する必要があるのか
【タレントと事務所間の契約の必要性】
タレント等の所属契約書(専属マネジメント契約書)を締結する必要があるのかどうか。
昨今、吉本興業が、所属タレントとの間で契約書を締結していないということが話題になりました。昔はどうだったかは存じないですが、割と近年はちゃんと所属契約書(専属マネジメント契約書)をタレントと芸能プロダクション間で締結することが一般的になっているので、吉本興業のケースは比較的レアなケースなのだろうと見受けます。あれだけ大手の芸能プロダクションであればなおさらですね。
そこで、そもそもとして、タレントとの芸能プロダクションが所属契約書(専属マネジメント契約書)を締結する必要があるのかどうかについて、今一度考えてみます。
まずそもそも論として、契約というのは契約書でなければならないというわけではございません。究極、口約束でも契約は成立します。客観的な証拠がないので、口約束でした契約内容の証明が極めて困難ではありますが、一応契約自体は成立しているという扱いになります。契約はこのように口約束でも成立するのですが、その場合は客観的に証明することが出来ないので、客観的に証明しやすい契約書という形をとることが多いわけです。
契約書という書面に契約内容をきちんと記載し、そしてその内容に承諾したという意味で契約の当事者(タレント・芸能プロダクション)が署名捺印をする。そうすることで、この契約書に書いてある契約内容を、タレント・芸能プロダクションの双方が承諾していると客観的に証明できるわけです。
あとは、電子メールも割と証拠性がありますので、電子メールのやり取りで契約を成立させることもできます。あとは、契約書ではなくても、発注書・発注請書という書面のやり取りで契約成立とすることもできます。このように、契約の成立のさせ方は多様ではあるのですが、最も客観的な証明をしやすいものとして契約書という形態が一般的にとられるわけです(もっと証拠性を高めるのであれば公正証書というやり方もありますが)。
【実際のところ】
タレントが芸能プロダクションに所属する際、基本的にはタレントと芸能プロダクションが所属契約書(専属マネジメント契約書)という書面を通じて契約を締結します。この契約書には、タレントが芸能活動を行っていく上での基本ルールや芸能プロダクションがマネジメントを行っていく上での基本ルールのみならず、タレントの様々な権利(肖像権、パブリシティ兼、著作権その他知的財産権等)の取扱いや、タレントが芸能活動を行っていく上で生じた様々な制作物・著作物の取扱い、発生した報酬(クライアント等から支払われる報酬)の取扱いと分配(タレントと芸能プロダクション間でどのように分け合うのか)、そしてそうした契約の有効期限と解約したい場合の取り決め、といったこと諸々を契約書に記載します。
契約書を締結しないということは、こういった内容が全て決まっていないということになってしまいます。もちろん、口頭での説明とそれに対する承諾という形で多少こういった内容を決めることはできますが、やはりその客観的な照明は極めて難しいわけで、例えばギャラの分け方等でもめた場合、非常に取り扱いが難しいわけです。
基本的には、タレントと芸能プロダクション間の所属契約書(専属マネジメント契約書)って、ややプロダクション側有利に作られることが多いです。ですので、契約書がないということは、契約書がある場合と比べて芸能プロダクション側があまり有利ではないともいえます。少なくとも芸能プロダクション側からすれば、契約書を作ってタレントと締結する方が、おそらく有利な形になる場面が多いのではないかと考えます。
例えばその芸能プロダクションをタレントがやめたいという場合、所属契約書(専属マネジメント契約書)では簡単にやめられないようなないようになっている場合が多いですが、契約書がなければ比較的簡単に(民法や商法等の法律の規定に基づいて)プロダクションをやめることができるでしょう。ですから契約書がないということは、芸能プロダクション側にとってあまりメリットはないのです。
であればやはり芸能プロダクション側が契約書をきちんと用意して、タレントとしっかりと締結するという形がやはり望ましいように思います。今回、吉本興業さんの件で、タレントと契約書を締結していないことで非難が浴びせられたことを考慮すると、もはや契約書を締結することは「必須」の時代になっているといえるのかもしれません。
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